僕たちと少年少女。
君と私の価値観
大人というレッテルと、不器用な僕の距離。
北風が吹き抜けるビルの屋上。眼下に広がるのは、無数の生活が織りなす都市の光。
かつては純粋に「綺麗だ」と思えたその景色を、今の私はただ「寂しい」としか感じられない。
「きっと笹川君が周りより大人なんだよ」
教師たちはそう言った。理不尽な環境から守るための言葉だったのかもしれない。けれど、それは呪いのように私を縛り付ける。宿題を忘れ、人間関係に悩み、不器用にしか生きられない「今の私」を置き去りにしたまま、周囲の期待だけが先走っていく。
これは、大人になりきれない「僕たち」と、世界のどこかにいる「少年少女」の物語。
違う景色を見て、違う痛みを抱えた「君」と出会うとき、凍りついた私の価値観は、果たして溶け出すのだろうか。
現代を生きる全ての孤独な魂へ捧ぐ、青春と葛藤の記録。
| ジャンル | 現代ドラマ / 青春 |
|---|---|
| 公開日 | 2026.04.19 Release |
| ステータス | 制作進行中 |
Prologue Preview
「今、私は生きている。」
北風が強い。風の音がよく聞こえるビルの屋上。
目の前に広がるのは、無数の光。
無数のオフィスの光、無数の家の光、無数の生活網の光。無数の光がとても明るい。賑やかに見える。でも、私には聞こえない。無数の人間が暮らす光が見えている。それなのに聞こえない、風の音しか。
「寂しい」
子供の頃はこんな時、「きれい」という様な簡単な感想が出てきたはずなのに。今はもう「寂しい」としか思えなくなっていた。
最近、こういう所、いわゆる絶景スポットとでもいうのだろうか。そういう所には行きたいと思わなくなった。だって、こういう所に行ったとしても、「寂しい」としか感じないからだ。
なぜだろう。こう思うのは。今がただ辛いと思っているからだろうか。
いや、違う。きっと大人になってしまったからだろう。
私は昔いじめにあってしまったことが何度かある。その時、いつも優しい先生達や主任の先生が言った事、「彼ら/彼女らはまだ子供なんだよ。きっと笹川君が周りより大人なんだよ。子供で幼稚な奴なんてあいてにしなくていい。」
別に私は大人ではない。まだ学生で、趣味である家事だって少ししかできない。寝坊だってするし、宿題も忘れる。テストだって赤点や青点取って留年ギリギリなんてこともある。あと人間関係も良くない。コミュ障だし、友達2人か3人しかいないし。
私はまだ「大人」と言って貰えるほど、器用な人間じゃない。
なんでだろう。ただ、日々懸命に生きているだけなのに。